どうもサンポです。
今回はメタバースが普及した後、次にくる技術や世界はいったいどんなものなのだろうか、という未来予測のお話。
といっても現状の世界ではメタバースはまだ普及していません。なので10年20年ぐらいのスパンの話だと思って聞いてください。
で、結論から言うと『BMI』が来るのでは?と思ってます。
BMI?
常日頃からテック情報を追っている人は当たり前に知っていると思いますが、ここでは誰も知らないという前提で解説していきたいと思います。
BMIというのは
Brain : 脳
Machine : 機械
Interface : つなぐ技術(インターフェース)
で、脳を機械とつなぐことで人体の活動を補助したり強化したりする技術です。または脳と機械をつなぐための機械のことをBMIと呼んだりします。デジタル空間で生きていくためには必須のデバイスです。
うげ!?SFの世界じゃん!
と思う方もいるでしょうが、人体と機械を接続する研究は1970年代頃から始まっているんです。いろんな意味恐ろしい…
そんなBMIの世界を、メタバースや現代社会とからめて解説していきたいと思います。SF・ゲーム・アニメ好きはワクワクが止まらない世界なので、BMIはぜひ知っておいていただきたいです!
▼ BMIの概要
BMIは”ブレインテック”という領域に含まれる技術になります。そして先ほども説明しましたがBMIは、脳と機械をつなぐ技術や機械です。
Brain : 脳
Machine : 機械
Interface : つなぐ技術(インターフェース)
ここではBMIの種類や実例について説明していきます。
✓ BMIには2種類の方式がある
現状、脳と機械をつなげる方法は以下の2種類が存在しているようです。
侵襲式:頭蓋に電極を埋め込む(手術が必要)
非侵襲式:ヘッドギアなどの外部デバイスを利用する(手術不要)
侵襲式は体内に電極を埋め込むため、脳神経活動を膨大に処理できる、かつ精度の高い機械操作が可能となります。しかしその分、手術や電極の発熱で人体にかかる負担が大きいと言われています。利用用途の構想としては、思考するだけで外部の機械を操作したり、テキストの入力やコミュニケーションが可能になるというものがあります。
非侵襲式は外部デバイスで頭皮から脳情報を取得する為、身体的負担がかかりにくくなっています。ですがこちらにも欠点はあり、頭皮から得られる脳情報はノイズが多く、細かな操作を必要とする活動には利用しづらいようです。こちらはすでに実用化されている製品もいくつか存在していて、思考のノイズをチェックして瞑想に活用したり、睡眠の補助活動をするデバイスなどがあります。
脳の活動を補助しているという点でみると、ある意味VRデバイスのOculusやVIVEなどは非侵襲式のデバイスと言えますね。
✓ BMIの実例
BMIは身体機能の補助や拡張が可能です。
代表例は『人工内耳』と呼ばれるBMIで、以下は機能説明の引用です。
生まれつき聴覚に障 害を持つ患者や、難聴になった患者の聴覚機能の補完・補強に利用されている。人工内耳は、体外に装着した装置が集めた音を電気信号に変換して、脳内の聴覚神経に信号を伝達する。この信号により聴覚神経 が刺激されることで聴覚機能を回復させる技術である。
次いで『脳深部刺激』という事例もあります。
脳の深部 にある体の動きを司る部位が異常な動きをしている場合、その部位に電気刺激を与えるなど、意図的に介入することで脳機能を調整する技術である。パーキンソン病などによる運動障害を回復させるDBSは、世界 で多数の臨床事例がある。
さらに以下のような事例も存在します。
モニター画面のカーソルを脳内情報だけで操作することや、米ブラウン大学 の研究においては四肢麻痺の患者がロボットアームを操作することが可能となっている。特に筋肉の萎縮 と筋力低下を引き起こす筋萎縮性側索硬化症の患者への適用が期待されている。
※引用元:MITSUI & CO.GLOBAL STRATEGIC STUDIES INSTITUTE
こうしてみると医療分野への活用事例が多いことがわかります。しかし、現在もBMIの研究は進んでおり、研究事例はロボット、教育、AR、住宅など多岐にわたります。
ちなみに、脳に繋げるデバイスではないですが『Oura Ring』という、指輪型のガジェットはすでに登場しています。指にはめることで歩数計測、体温のモニタリング、SpO2値のモニターなど可能。Apple Watchも似た機能がついてますよね。
▼ ここからのトピックの前提知識共有
BMIが来ると思う理由について説明する前に、前提知識を共有しておきたいと思います。主にWebの進化過程の話なので、その辺明るい方は飛ばしてもらってOKです。
✓ Webの進化の変遷 ~Webの誕生からWeb3.0へ~
Webは現在3段階目の進化を迎えており、Web3.0と言われるようになってきました。それ以前はWeb2.0、Webの最初期はWeb1.0と呼ばれていますね。ここからはWebの進化の変遷をザックリと辿っていきたいと思います。
まずはWeb1.0。Web1.0は1991年に『The World Wide Web project』という最初のウェブページが公開されたことで始まったと言われています。そしてHTMLやFlash、CSSが登場し、Web上にホームページを公開する技術が整い始めました。Web1.0はまさにテキストベースのホームページ全盛の時代で、作り手からユーザーへの一方向的な情報提供が主流となっていました。
次にWeb2.0です。Web2.0は2005年頃から始まったと言われています。特徴としてはWeb1.0時代に情報の受け取り手であったユーザーが、ブログやSNSなどによって情報発信を行うようになりました。情報発信の方法もテキスト、音声、動画など複数の手段が可能になり、さらにスマートフォンの普及によって誰もが手軽に高品質な情報へアクセスでき、情報の流動性は格段に向上しました。しかしその一方でプライバシーやセキュリティ問題も発生します。GAFAのような一部の巨大企業に個人の情報が集中したため、ハッキングやサーバーダウンによる被害で、社会に与える影響は凄まじいものになりました。2018年にはFacebookが5000万人分のユーザーデータを不正利用される事態も。このようなリスクは情報が一極集中してしまう中央集権型によるものといえます。
そして2021年現在、Web3.0といわれる時代に突入です。仮想通貨やNFTなどのブロックチェーン技術の普及により情報の一極集中によるセキュリティリスクを解消するとともに、ウォレットをID代わりに利用することでプライバシー保護も可能となりました。Web2.0に問題となっていたリスクを、ブロックチェーンの強固なセキュリティと分散性によって解消しているというわけです。 さらに仮想通貨やNFTはP2P取引の流動性を格段に向上させました。今ではネットさえつながっていれば数分、または数秒の内に世界中どこでも送金可能です。しかもトラストレスに。
この通貨やデータの流動性向上は社会構造を変化させつつあります。
Web2.0では、クリエイターが制作したコンテンツは企業やプラットフォームに権利を明け渡すという仕組みが一般的でした。Twitter、Instagram、YouTube、TikTokなど…
それがWeb3.0の時代になり、情報の分散性とデジタル空間内のセキュリティが向上した結果、トークンエコノミーやクリエイターエコノミーという社会構造の変化が起きました。
まだまだ一部のクリエイターに限られますが、企業やプラットフォームに依存することなく、P2P取引によってコンテンツ販売とロイヤリティ収益を上げられるようになりました。DAOやメタバース、NFTクリエイターも、まさにこのような社会構造の変化が起きているために注目されている仕組みや職業ですよね。
そして今まさに研究、発展中の技術がメタバース。
メタバースはデジタル空間内に、人類史上全く新しい経済圏を構築するための技術基盤として注目が集まっているんです。
▼ BMIが来ると思う理由
ようやっと本題に入っていきましょう。
なぜBMIがメタバースの次にくる技術なのか、それはフリーランスの増加やメタバースの普及がBMIの需要を拡大させると予想しているからです。
✓ ①フリーランス増加による需要拡大
フリーランスや個人事業主の収益は基本的に個人の作業効率、パフォーマンスに影響を受けやすいです。そのため自分自身の体調や健康維持はそのまま仕事の収益に直結するわけですね。
そうなると仕事以外にも体調管理、モチベーション維持なんかも重要な要素になってきます。
勘のイイ方はもうお気づきですよね。
この体調管理とモチベーション維持はBMIによって外注化することが可能になるんです。
例えばBMIを装着することで、仕事の邪魔になる脳のノイズを感知した瞬間に打ち消したり、運動不足などの体の異常を早い段階でキャッチアップして利用者に運動を促すことも可能になるでしょう。
今はまだBMI技術が普及していないため直接的な需要にはなっていませんが、コロナウイルスによるおうち時間増加の影響でヨガやエクササイズの需要がましたことは、体調管理への意識が高まったといえますよね。
こういった点から、BMIは近い将来、人間にはなくてはならいないデバイスになるのではないかと予想できます。
※以下、フリーランス増加データ
✓ ②メタバース普及による需要拡大
現状のメタバースはモニターやVRゴーグルを使って、ある意味では間接的に体験することが多いと思います。
それがBMIを使うことで完全に没入可能になり得ます。例えば、メタバース内で触れたものの手触りを再現して脳にフィードバックしたり、思考するだけ他者とコミュニケーションできるなど。
これらのことは非侵襲式のBMIでは難しいはずなので、外科手術が必要な侵襲式のBMIが用いられることになるでしょう。
しかし、もしそうなった場合、リアルとデジタルの境界線はほぼ無くなるかもしれません。
NFTがデジタルに精神的な質量を与えたように、BMIはデジタルに物理的な質量を与えます。
▼ BMI研究を進めている企業
✓Neuralink(ニューラリンク)
イーロン・マスク氏が2016年に創設したスタートアップで、主に侵襲式のBMI開発に力を入れています。直近で話題になったものといえば、脳内にチップを埋め込まれたサルが、思考だけでピンポンゲームをプレイしたもの。
そのほか以下のような事例も報告されています。
米Neuralink(ニューラリンク)は2020年8月28日、脳に電極を直接埋め込むBMI(Brain Machine Interface)技術の進捗を明らかにした。神経科学者としてBMIの研究を手掛けた経験があるハコスコ代表取締役の藤井直敬氏は、「BMI研究者が20年前から欲しかったものを、会社設立からたった4年で実現した」と高く評価する。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00924/00007/
✓旧Facebook社
Metaに社名を変更したFacebookですが、2017年に非侵襲式のBMI 開発を表明しています。 その後様々な事件を経て2021年3月「ニューラル・リストバンド」というデバイスの映像を発表しました。
「ニューラル・リストバンド」は”筋肉で発生する微弱な電場の変化を測定”する技術を利用しており、これによって、仮想空間上での操作にリアルな感触を与える目的があるようです。
▼ BMIの課題
夢のような技術がつまったBMIですが、もちろん課題はあります。むしろまだ研究段階の技術なため、課題だらけだと言ってもいいと思います。
✓①技術の発展が未知数
先ほど紹介したNeuralinkやFacebookなどの企業は、水面下でBMIを開発していますが進捗状況は調べてみてもほとんどわかりませんでした。
というか色んな技術がありすぎて追いきれない…
✓②侵襲式は人体を利用した事例が少ない
体内に電極を埋め込むタイプの侵襲式は動物実験がメインで、人体での研究事例は見つけられませんでした。2021年4月にイーロン・マスク氏がTwitterで、人体による臨床試験の可能性を匂わせた程度です。
動物実験でさえ、一部の団体から圧力がかかる時代ですから、臨床実験となるとハードルはかなり高そうですよね。
✓③患者の性格を変えてしまう危険性
パーキンソン病や、うつ病などの治療にBMIが実用されている。しかし、うつ病の場合、患者の性格を変えてしまう危険性があるとして法律、倫理面の議論が起きているみたいです。
詳細は忘れてしまったのですが、オタキングの岡田斗司夫さんが以前BMIの話をされていて、その話の中で『きれい好きだった人が治療後にガサツになった』みたいなことを言っていたような…
180度性格が変わってしまうとなると、ちょっと怖いです。
▼ まとめ
メタバースの次はBMI(ブレインマシンインターフェース)!
僕が予測している未来の感覚が少しでも伝わったでしょうか。
人間は情報を早く効率よく伝える手段としてインターネットを生み出しました。それからWebという技術が生まれ、今ではWeb3.0がやってきています。そしてWeb3.0の世界は、社会が大きく変化するポテンシャルを秘めています。
ジワジワ変化していくにしろ、突然のブレイクスルーが訪れるにしろ、すでに変化は起こってきています。
その社会の変化と共に情報伝達手段やデバイスも変化していくでしょう。ある意味進化ともいえる変化の先にあるものがBMIです。今は治療分野での活躍がメインのBMIですが、今後僕たちの生活に溶け込むようなBMIもかならず登場してくるでしょう。
それがVRデバイスなのかARゴーグルなのかはまだわかりません。
人体への重大な影響が見つかってBMI事態が規制される可能性もあるかもしれません。
ただ一つ言えることは、BMIが普及した方が面白そうじゃん!ってことだけです。